下山淳と穴井仁吉で「穴山淳吉」。既に今週、3月17日(木)・18日(金)に福岡、19日(土)に小倉と、“里帰りツアー”(正式名称は『SPRING HAS COME TOUR.』。凱旋公演である)を行うことをお知らせしている。ツアー直前になるが、穴山淳吉の結成のいきさつやこれまでのライブの手応え、ツアーにかける意気込みなどを下山淳と穴井仁吉に聞いた。観覧の予習、開演前の手引きとして、是非、ご覧いただきたい。
いうまでもなく、二人はThe Roosterzのバンドメイト(通称“LAST FOUR”)であり、その前も後も数多くの共演経験がある。昨2021年8月29日(日)に横浜ベイホールで開催された「YOKOHAMA SUMMER ROCK FES.”REVOLUTION ROCKS 2021″」に「下山組」として出演。メンバーは下山淳(G)、ヤマジカズヒデ(G)、穴井仁吉(B)、KAZI(Dr)、武田康男(Vo)と言うラインナップ。
「下山組」は後にメンバーそのまま「Eli and The Deviants 」と命名され、翌2022年1月28日(金)に東京・下北沢「CLUB Que」でワンマン&お披露目ライブを行う(以前、本ページで同バンドを穴山淳吉の七変化のひとつとして紹介したが、改めて2人に確認したところ、穴山淳吉とは別物と考えた方がいいそうだ)。
しかし、下山と穴井の2人だけというのは「穴山淳吉」が初めてのこと。その結成の契機、本格始動は昨2021年10月24日(日)に所沢「MOJO」で開催された『邂逅、共振』(「宙也†幸也」と共演)だった。
「所沢の音楽喫茶MOJOってとこで俺のソロライブやるときに先方から"穴井さんと一緒にやって欲しい"って言われて、まあEli(当時は下山組だった)でもやってるし、それ以前に何度もバンドやってるから、ごく自然に。何度もバンドに誘ったってことは、まあウマが合うんでしょうなあ~何故かは分からないけど」(下山)
穴井は「下山から誘われた。嬉しかったね。いつも誘ってもらっているけど、改めて感謝の気持ちで参加した。下山だからやるというのはありますよ」と、語る。実は遠藤ミチロウのゲイノー・ブラザーズやルースターズも下山が穴井へ声をかけて、参加することになったそうだ。
「穴山淳吉」は2021年12月17日(金)に横浜「THE CLUB SENSATION 」でライブ納め、翌2022年の初ライブは1月15日(土)に所沢「MOJO」で下山と穴井に元ズクナシのメンバーで三宅伸治&the spoonfulなどでも活躍する茜(Dr)がサポートとして加わった。延原達治がオープニングアクトを務めている。2月26日(土)には東京・野方「 VERTIGO 2」で同じく穴山淳吉(下山淳・穴井仁吉) + 茜というラインナップでライブを行っている。
茜が加わる経緯は下山が以前、ライブで彼女の演奏を見て、記憶に残っていたからだそうだ。サポートは、いまは茜だけだが、今後、さらに増える可能性はあるのだろうか。
「さあ~どうなのかなあ。特にどうしようとか、能動的なことは頭になかったので。まあ独りよりもベースがあったらやれる曲が増える、とかね。そしたら茜ちゃんが頭に浮かんだんだよね。ドラムやってくんない?ってより、なんか合いの手みたいに居てほしいかなあ。ま、ドラムなんですけどね(笑)。彼女のことは長野のイベントで観て覚えてた。俺としてはこういうケースは珍しいですね。なにせ、まともに話したこともなかったので。これからどうこうしようってより、こんなの楽しいじゃん?って感じです。やれるときがあれば、ってね」(下山)
「プロジェクトみたいなことはあまり考えてなくて、いまやれることをやっているだけだけど、実際にやっていて、本当に楽しい。穴山をやるんで、改めて下山のソロも聞いたけど、ギターや楽曲の魅力に驚いた。ちょっと変態っぽいけど、めちゃくちゃ、ポップでしょう」(穴井)
今回のツアーだが、これは穴井の発案だという。17日(木)は穴山淳吉の福岡初ライブと同時に、その日、誕生日を迎え、60歳(フライヤーには“60”や“還暦”の文字はなく、“12×5”と表記される“穴井仁吉”方式を採用)になる福岡在住のギタリスト、エンジニアの松永浩の還暦祝いも兼ねている。松永は福岡のレコーディングスタジオ「HEART STRINGS STUDIO」のオーナー。同スタジオではサンハウスの『HAKATA』(レコードデビュー40周年記念盤)がレコーディングされている。また、シーナと鮎川誠の自伝的ドラマ『You May Dream』(NHK福岡ドラマ)で鮎川誠役を演じた福山翔大にギター演奏を指導。山善&鬼平バンドでも活躍している。「花井善平」(花田裕之+穴井仁吉+山部“YAMAZEN”善次郎+坂田”鬼平”伸一)のサポートでギターも弾いた。
「彼は福岡の音楽祭などで数々の賞を受賞している才能あるミュージシャンで、上京して、プロを目指していたけど、うまくいかなかった。丁度、ルースターズが解散して、ウィラードに加入したあたりだったけど、いつも彼と一緒だった。ウィラードの後、福岡へ戻るんだけど、松永も福岡に戻ってきた。丁度、音楽界のバブルが弾けた後で、いろいろ大変な時期だった。そんな時に力になって支えてくれた。松永が還暦を迎えるにあたって、彼のために何か、やりたいなと。それで福岡でライブをしようと。下山に相談したらいいよって言ってくれて。どうせ、やるなら福岡だけでなく、小倉もってなったんです」(穴井)
いわば、穴井と松永の友情、穴井の男気から始まったことだが、そんなところが穴山淳吉らしい。下山は「福岡に行ったときに時折見かける程度で、一緒に演奏したことはないと思います。今回初めて演奏することになるのかな。Roostesの曲をリクエストされました」という。その日は穴山淳吉に松永浩が加わる。さらにサンハウスの“坂田“鬼平”紳一、The Blues One Nightsの梶浦雅弘という二人の福岡のレジェンド・ドラマーの参加も発表されている。
地元だけに同日以外にもサプライズやハプニングがありそうだ。蓋を開けてみなければわからないが、楽しみな3日間になりそうだ。ちなみに地元や故郷などの表記を使用しているが、穴井は福岡出身だが、下山は山形出身。本来は福岡に地縁はないが、石井聰亙(岳龍)やRoostersに関わったことで、福岡が第二の故郷となる。改めて二人にツアーの意気込みを聞いた。
「そうですねえ、石井監督に会わなければ、Roostersってバンドに入らなければ、恐らく俺は生涯、九州に来ることは無かったかもしれない。そう思えば、こんなにたくさん来ることができて、しかも第二の故郷だなんてのは、なんか驚きというか、何というか、ですねえ。不思議な安心感があります。えーみなさん、穴山淳吉2Days、博多デビューです。是非いらしてください。お待ちしています」(下山)
「Roosterzの最後のツアーの福岡公演の後に親不孝通りの「ジャック&ベティ」というライブバーで、打ち上げがあって、4人で行ったんです。ライブが終わったばかりだけど、何故か、演奏することになって、12、3曲、ブルースやロックンロールのカヴァーをやった。1曲終わるか、終わらないかで、下山がすぐ次の曲を弾きだして、花田が歌うという繰り返し。なんか、そんな感じで、みんなと一緒にセッションをしたいという気持ちがあります。きっと、すごく楽しいものになると思います。是非、見に来てください」(穴井)
今週末は福岡と小倉に全員集合(?)。いまからでも遅くない。行ける方は駆けつけて欲しい。きっと、地元ならではライブが見ることができるだろう。ツアー以降も日程が決まり出している。
穴井は「このコロナ禍で、普通にバンドでのライブが難しくなって、それでソロという形が多くなった。最初からギターとヴォーカルでやっていた人はいいけど、ソロだけだと飽きてしまう。だからデュオでやってみる。アンサンブルもグルーヴも生まれる。今後、人数も増え、また、爆音でできることになってもフットワークの軽さは大事。二人だったらスケジュールも押さえやすい」と語る。同時に「このコロナ禍にやっているライブがどれもいいんです」と胸を張る。その分、いま、鮎川誠や柴山俊之などの先達が自ら動くことで見せてきた責任と自覚も芽生えてきたという。穴山淳吉――この時期の二人の邂逅、深い意味がある。彼らの活動から目が離せそうもない。刮目すべきだ。
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ANAYAMAJUNKICHI 穴山淳吉 SPRING HAS COME TOUR.
3/17(木)福岡 Public Bar Bassic.
“松永浩12×5 years BIRTHDAY”
出演:穴山淳吉 (下山淳&穴井仁吉)
ゲスト:松永浩(Guitar&Vocal)
Open 19:00/Start 19:30 前売¥3500/当日¥4000(+1ドリンク)
問・予約:Bassic. mail@bassic.jp
3/18(金)福岡Public Bar Bassic.
出演:穴山淳吉 (下山淳&穴井仁吉)
Open 19:00/Start 19:30 前売¥3500/当日¥4000(+1ドリンク)
問・予約:Bassic. mail@bassic.jp
3/19(土)小倉 Live Bar『本陣』KOKURA
出演:穴山淳吉 (下山淳&穴井仁吉)
Open 19:00/Start 19:30 前売¥3500/当日¥4000(+1ドリンク)
問・予約:本陣 kita9.hibikidan@gmail.com
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4/1(金)横浜 THE CLUB SENSATION
出演:うじきタケシ(うじきつよし(Vo.g)+澄田健(Vo.g))/穴山淳吉 (下山淳&穴井仁吉)
OPEN 18:30/START 19:00
前売¥4,000/当日¥4,500(+2ドリンク¥1200)
問・予約:THE CLUB SENSATION 045-241-3166
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5/29(日)東京・下北沢CLUB Que
出演:Eli and The Deviants
[Gu.Vo:下山淳(ROCK'N'ROLL GYPSIES),
Ba:穴井仁吉(TH eROCKERS),Gu:ヤマジカズヒデ(dip),
Dr:KAZI(ZZZoo),Vo:武田康男(蜘蛛蜥蜴/ex.HYSTERIC SUZIES)]
OPEN 18:00/START 18:30
前売¥4500/当日¥5000(+1ドリンク別途)
・Que店頭
・LivePocket https://t.livepocket.jp/e/que20220529
問:CLUB Que 03-3412-9979
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